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112019-03

株価とマクロ経済指標との関係

はじめに

日々の生活で触れる経済ニュースの中で,国内総生産や消費者物価指数といったマクロ経済指標と個々の企業の株価に関する情報は必ずといってもよいほど目にするものである.そこで,一つの疑問が湧いてくる.これらのマクロ経済指標と株価との間には何かしらの関係性があるのだろうか?本稿では,イギリス,ドイツ,フランスを対象に株式市場のインデックスとマクロ経済指標との間の関連性について調べた結果を紹介する.

概要

国内総生産や雇用統計といった各国のマクロ経済指標は,その国全体の経済活動を表すとされている.また,その国の株式市場に上場している企業の株価は国全体の経済活動の一部を担うと同時に何かしらの影響を受けていると考えられている. すなわち,マクロ経済指標の値を使って株価のリターンを説明することが可能であるということである.実際にこのような試みは研究や実務においてこれまでにも行われてきており,マクロ経済指標を用いることで統計的に優位に株価のリターンを説明できるという報告も行われている.ここでは,イギリス,ドイツ,フランスを対象に,株価のリターンが工業生産額と長期金利で説明できると報告している研究結果を紹介する.

論文

Amado Peireo, Stock prices and macroeconomic factors: Some European evidence URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1059056015001239

解説

イギリス,ドイツ,フランスの株式市場のインデックスのリターンをマクロ経済指標である工業生産額と長期金利で説明する.時系列データの定常性を確認するため,単位根検定が行われた結果,インデックスのリターンには定常性が確認されたものの,工業生産学と長期金利には定常性が確認されなかった.そこで,工業生産学の対数差分時系列と長期金利の差分時系列に対して単位根検定を実施したところ定常性が確認されたため,これらが説明変数として採用されている. 次に,説明変数の時間差の効果を測定するため,期におけるリターン

で回帰する.ここで,は切片ではそれぞれ回帰係数であり,,,,はそれぞれ時間差の始点と終点を表す.は工業生産額の対数差分,は長期金利の差分であり,は誤差項である. 推定した回帰係数の大きさにより最も寄与の大きい項のみを抽出することで,以下の回帰式が得られる.

これより,期におけるインデックスのリターンはにおける工業生産学の変化分と期における長期金利の変化分と関連づけられることがわかる.

発展性

ここで紹介した結果を含め,株価のリターンとマクロ経済指標との関係性についての研究の多くは線形関係のみを対象としている.そのため,非線形の関係性についても検討する余地がある.また,他のリターン予測モデルでも行われているように,リターンの自己回帰成分やボラティリティの変動も考慮することでモデルの予測精度を向上させる方向に発展させることも考えられる.

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